東京大学数学対策推奨参考書と勉強ルート
東大数学の概要
東大数学はとにかく時間との戦いです!発想力が必要とされる上、高い計算力と速いスピードが要求されます。全ての大問を解こうとは思わないで下さい。東大数学の大問は6つあるのですが、その大問間に明らかな難易度差があり、解く問題の選択眼が重要になってきます。
出題形式
上記概要にも触れた通り、大問6つで時間は理系150分・文系100分です。
配点/合格者平均
配点は120点満点で、数学の合格者平均は理系が60点前後、文系が40点弱だと思われます。「意外に低い」と思われるかもしれませんが、東大合格者は数学ではなく、英語や理科・社会で高得点を取っているのです。そのため、最低限の得点を取っていれば心配はいらないんです!
目標点数
上記、配点/合格者平均にも記載した通り、理系60点前後、文系40点弱とることができれば合格が見えてきます!そのため、数学が苦手な人は数学で最低限の点数を取り、他の科目に力を入れるという戦略をとるべきですが、数学が得意な人はあえて数学に力を入れることで、他の受験生と大きく差をつけることができるでしょう。具体的に示すと、数学が苦手な人は4割前後、得意な人は7割前後を目標得点としましょう!
出題傾向
東大は全範囲から出題されますが、特に微分積分、場合の数・確率、整数、数列と極限、複素数平面が良く出題されます。中でも微分積分ではあまり発想力を必要としません。そのため、計算力さえあれば確実に満点を取ることができます!しかし、要求される計算力はとんでもなく高いです。なので答えが見えなくても粘り強く計算することが大切です!逆に場合の数・確率、整数は発想力を要求されます。ですがその発想にもパターンがあるので、「解法暗記」が重要です。問題を見て少し考えても方針が見えなかった場合、その問題は捨てるようにしましょう。
東大数学分野別対策
微分積分
微分積分はほかの分野、特に図形と組み合わされやすいので、微分積分固有の問題が出題されるというよりも他の分野の能力を中心に問われる問題が出題されます。逆に言えば微分積分を身に着けるために必要なのは計算力だけなので微分積分のみの問題が出題された場合はラッキーです!絶対解けなくてはいけません。そのため、微分積分固有の対策は解法暗記と計算演習です。
場合の数・確率
場合の数・確率は解法が多いので参考書を使った重点的な学習が必要です。確率の解法に慣れるには時間がかかるので一日確率だけをずっとやる日などを設けると効率的に解法暗記ができます。
整数
整数は重要なキーワードがいくつかあります。そのキーワードは2乗、因数分解、互いに素、素数、素因数などです。これらに共通していることは、「因数分解したときに、その求めたい数を決定するための手がかりとなる」ということです。例えば「x^2-2^2y=2^2n-1を満たす自然数x,yを求めよ。(一橋大改)」という問題があったとします。この時、まず2乗を意識すると左辺が因数分解できることに気づきます。よって式が(x-2^y(x+2^y)=2^(2n-1)となり、ここで右辺の素因数は2のみなので(x-y)と(x+y)は2の累乗になります。したがって整数aを用いてx-2^y=2^a…①,x+2^y=2^(2n-1-a)…②となります。②-①をすると2^y=2^(2n-1-a)-2^a=2^a(2^(2n-1-2a)-1)となり、左辺の素因数は2のみであるから右辺も素因数が2のみであるから、 2^(2n-1-2a)-1 =1であり、a=n-1となることがわかります。ここからx,yを求めることができます。
このように、キーワードを意識すると方針が立ち、難しい問題でも解けるようになります。
東大数学 学習段階別おすすめ参考書
現論会推奨!「学習段階」ってなに?
現論会では、数学に限らず全科目で「分野別対策」を推奨しています!詳しくは下記の記事を読んでいただきたいのですが、大まかに説明しますと数学には「計算練習」「概要把握」「解法暗記」「問題演習」という4つの学習段階がある、ということです!
ですのでいきなり問題演習から学習を進めようと思ってもうまくはいきません。問題演習に入るまでの「計算練習」「概要把握」そしてとりわけ「解法暗記」という3つの基礎がないと、意味のある問題演習・過去問演習は行えないのです。
数学の勉強法には「計算練習」「概要把握」「解法暗記」「問題演習」の4段階があるんです!
計算練習編おすすめ第1位
「ドラゴン桜式計算ドリル」シリーズ
基礎力の補完はもちろん、一回解くだけでなく何回も繰り返すことで応用力も身に着けることができる良書です!漫画発祥だからと言って甘く見てはいけません。これを一冊こなすだけで計算力がめざましくアップすること間違いなしです!
計算練習編おすすめ第2位
「カルキュール数学」シリーズ
「カルキュール数学」シリーズは、問題の難易度設定がとても素晴らしいです!基本問題で基礎をしっかりとかみ砕き、標準問題でかみ砕いた基礎の使い方をじっくり身に着けられるようになっています。数学という科目は特に基礎力が問われる科目なのは明白ですが、その基礎を一から学んだうえで強化・完成させて行ける、数学が苦手な受験生にこそ解いていただきたい良書です!
計算練習編おすすめ第3位
「合格る計算」シリーズ
「合格る計算」シリーズは基本問題を例にとり、その問題解説一つ一つで計算力をアップさせるための具体的な説明を施しています。他の教材と違って、「計算の過程でどんな思考プロセスをたどればよいのか」を詳しく解説してくれているため、効率的に計算プロセスを学ぶことができ、自然と計算力は上昇していきます!
「計算練習」は毎日行い、計算ミスは「ミスノート」にメモしておくと、自分の苦手分野を客観視することができます!
概要把握編おすすめ第1位
「初めから始める数学」シリーズ
東京大学の数学勉強ルートにおいて、よほどの進学校ではない限り学校の履修スピードに合わせて学習していては間に合いません。学校の授業を先取りするにあたっておすすめなのがこの「合格る計算」になります。一問あたりの解説量がとても多いため、授業の先取りや予習・分からないところの復習など、多岐にわたって使うことができる良書です!
概要把握編おすすめ第2位
「入門問題精講」シリーズ
このシリーズは基本的に「初めから始める数学」ととても類似しています。問題解説をとても丁寧にしてくれているため、初学者・先取りしたい人にはもってこいの参考書です。学校の授業などでわからなかった範囲のみこの参考書を用いるという・補完的な使い方で十分だと思います!
概要把握編おすすめ第3位
スタサプ「ベーシックレベル数学ⅠA」、「ベーシックレベル数学ⅡB」、「スタンダードレベル数学Ⅲ」
「概要把握」で学習する範囲は、基本的に未習の範囲になります。まだ習っていない範囲を参考書で学習しようとすると、よく理解していない数式や記号を自分で読み解く必要があり、非常に難易度が上がります。そのため、映像授業では語り口調でやさしく数学を教えてくれるため、「自分で読み解く」必要がありません。そのため数学が苦手な人でも、ストレスなく学習を進めることができます!
解法暗記編おすすめ第1位
「一対一対応の数学」シリーズ
「一対一対応の数学」シリーズは、網羅的にすべての問題を扱う参考書というよりは、少ない典型問題・必習問題を中心に精選して作られている参考書です!そのため、ポイントごとの復習はもちろん、「ここさえ押さえておけば大丈夫!」といった数学のツボを押さえるのにとても適しており、解法暗記の基礎はもちろん、直前期の復習にもってこいの良書です!
解法暗記編おすすめ第2位
青チャート
「青チャート」は、基本例題・演習例題・重要例題・練習例題の4段階に分かれており、さらにその例題も1~5レベルに分かれています。それぞれ1A・2Bそれぞれに100題以上の大量の問題が掲載されており、基本問題ですら難易度は高く、例題を完璧にするだけでも共通テストレベルなら十分と言えるほどの数学力がつきます!
解法暗記編おすすめ第3位
標準問題精講
「標準問題精講」も「青チャート」同様、例題→演習というチャート式の参考書になっています。青チャートよりも問題数が多いため、直前に復習・確認するため、というよりは夏休みなどまとまった時間が取れる時に、解法暗記の総仕上げとして使うのがおすすめです!
問題演習編おすすめ第1位
スタンダード数学演習
この参考書は、入試の標準問題を中心に、発展的な問題も扱って入試の典型的重要問題を精選して構成されています!テーマがはっきりと明示されているため、自分がどこでつまずくのかを見つめなおすこともでき、より実践力の強化を図ることができる参考書です!
問題演習編おすすめ第2位
良問のプラチカ
「良問のプラチカ」は、理系用・文系用・数学Ⅲと3つの種類があり、それぞれ自分の志望校の傾向に合わせて使っていくことになります。演習タイプの問題集としては問題数は少なめですが、レベルの高い問題を多く扱っています。直前期に過去問と併用して使うとより実践力がつくでしょう。
問題演習編おすすめ第3位
世界一わかりやすい京大数学
題名にある通り、問題の題材は京大数学からとってきていますが、本番レベルの問題に向き合ったときの発想方法が詳細に書かれており、思考プロセスの再確認・発見に適しています!京大志望でなくても発想法を練習したい場合にはおすすめの良書です。
「問題演習」は実戦形式で行います!復習をするときは「解法暗記」の参考書も参照しましょう!
いかがでしたか?東京大学の入試数学の概要・詳細についてしっかり知っていただくことができたでしょうか。本記事でおすすめした参考書に関しては、「東大数学ならこの参考書で決定!」というわけではなく、最難関大学である東京大学を含めた多くの難関大学の入試数学に使えるものばかりです。自分に合った参考書を見つけ、自分自身の学力と相談しながら計画をカスタマイズしてくだされば幸いです。
現論会では、全科目の学習段階のほかに、勉強ルートも紹介しています。ぜひ他の記事にも目を通してみて下さい!