2024年度共通テスト数学ⅠA対策を現役東工大生が解説!(2023年度の分析付き)
今回は、2024年度共通テスト数学ⅠA対策を現役東工大生である私が解説していきたいと思います。是非、2023年度の問題を実際に参照しながら、この記事を読んでいってください。
共通テストが始まってから、2023年度は3度目の試験でした。2022年度は、共通テスト数学ⅠAの平均点が30点台となり、話題となりましたが、共通テスト数学ⅠAとはどのような試験なのでしょうか。過去問が少なく、対策しにくい部分はありますが、特徴を掴んでそれぞれが目標としている点数が取れるように対策していきましょう。
共通テスト数学ⅠAの概要
配点 100点
1⃣30点、2⃣30点、3⃣20点、4⃣20点、5⃣20点
1⃣、2⃣に関しては必答であり、3⃣~5⃣に関しては2題を選択する形になっている。
制限時間 70分
各年度の平均点
年度 | 平均点 |
---|---|
2023年度 | 55.65点 |
2022年度 | 37.96点 |
2021年度 | 57.68点 |
2023年度の分析
全体として
共通テスト数学ⅠAは全体の特徴としては、時間制限の厳しい試験だといえるでしょう。4つの大問を70分で解き切るためには、対策や戦略をしっかりと練った上で本番に臨まなければなりません。基本的に見直しに多くの時間を使えるわけではないので、問題の状況把握を素早く行い、正確に計算を処理することが求められる試験です。共通テスト数学特有の点は、実生活と数学を絡めた問題が出題される点です。そのため、文章を読み状況を把握し、それを数式にする作業は慣れが必要になってくるでしょう。
【第1問】 1次不等式・図形と計量
数式の処理と図形の問題でした。
数式の処理に関しては、基本的な問題なので、素早く解答してほかの問題に時間を割けるようにしましょう。
図形の問題に関しては、特に⑵の問題を解くのには時間がかかるので、計算に詰まったら飛ばしてよい問題でしょう。図をしっかりと描き、どのような図を考えているのかを明確にしながら問題を解くことが重要になってくるといえるでしょう。
【第2問】 データの分析・2次関数
データの分析と二次関数の問題でした。
データの分析に関しては、計算がないグラフを読み取るような問題は確実に得点したい問題です。また、計算が必要となってくる問題では、時間がかかると思ったら、次の問題に行くことが賢明だと感じます。
二次関数の問題は、バスケットボールのシュートを二次関数を用いて考えるというテーマでした。このような問題はまずは正確な状況把握が大事になってくるでしょう。前提条件の勘違いで問題が解けなくなることがあるので、ミスなく理解しましょう。このような問題は、数式が実際にどのような意味を表しているのかを理解することが重要です。それができれば、後は流れに乗って回答していきましょう。
【第3問】 場合の数と確率 (選択問題)
場合の数の問題でした。
まずは今までの問題と同様に条件を正確に把握することが重要です。その上で、全体を見渡してみると⑴〜⑷までは独立した問題で、⑸は⑴〜⑷の応用で、⑹が最も難しそうだということが分かります。⑸や⑹で詰まった場合は次に進むのが賢明だと思います。今回は、⑸の考え方を生かして⑹が解けるが、場合分けを適切にすれば⑸と異なるやり方でも解けます。本番では誘導とは異なるやり方でも解答できると思えば、自分の思いついた方法で回答するのもよいでしょう。
【第4問】 整数の性質 (選択問題)
整数の性質の問題でした。
今回であれば、第3問よりも解きやすいでしょう。ユークリッドの互除法の問題であり、流れに乗って問題を解いていけば比較的解きやすい問題でした。状況の把握もしやすい問題なので、整数が得意な人は素早く完答して、飛ばした問題に戻る時間を確保したいです。逆にこの問題を最後に解いた人は、時間があれば完答できたのに、制限時間が来てしまい解き切ることが出来なかったということも起き得るので、解ける問題から確実に得点してほしいです。
【第5問】 図形の性質 (選択問題)
図形の性質についての問題であるが、得意不得意が分かれるので非常に得意な人は選択すればよいと思います。
今回の問題では、円と直線に関する証明問題を穴埋め形式で解いていく問題でした。⑵は、⑴と似た設定の問題になっていました。このような図形の問題は、自分で図を描いて問題を解いていくが、ある程度図を正確に描かなければ問題が解きにくくなるので、その点には注意しなければなりません。
2023年度の特徴的な1問
2023年度の問題の中から共通テストらしさがある問題を紹介します。それは、第2問[2]です。
この問題は、共通テストらしさが詰まった問題なので解説していきます。
問題を見てもらえば分かるように、バスケットボールのシュートを二次関数を用いて考察する問題になっています。このような実生活が絡んだ問題がこれからも出題されることが予想することができます。また、このような問題の場合、細かい状況設定がなされることが多いです。よって、素早い状況把握と条件を読み落とさないことが重要となってくると考えます。
今回の問題では、式や数式を見て答える考察問題もあるので、難しく感じた人もいたでしょう。しかし、数式が何を意味しているのかを考えながら解けば、十分に完答が狙える問題でした。見慣れない形式の問題が来ても、しっかりと考えて得点を取ってほしいと思います。
2024年度の対策・戦略(目標点別)
90点~100点を目指す方
【当日の戦略】
基本的には前から順番に解いていけばよいと思います。まずは満点を狙う気持ちで解き始めましょう。解いていく中で重要なのは、いかに簡単な問題に時間をかけずに処理するかです。そして、時間がかかる問題の多くの時間を割けるようにしましょう。また、大問の最後に関しては手が止まったら、次の問題に行き、すべての問題が解き終わってから戻ってくると良いと思います。まずは、自分が確実に得点できる部分から回答していき、余った時間で出来なかった問題に取り組むと良いでしょう。
【これからの対策】
9割以上を目指す人は、まずは国立の二次試験ベースで学習を進めていき、二次試験で合格点が取れるほどになれば、予想問題などを1か月ほど前から時間を測りながら解くことを定期的に行えば良いでしょう。
重要なのは、共通テストのための勉強よりも二次試験で得点できる力を伸ばすことなので、共通テストは形式慣れの目的で過去問演習をしましょう。
80点~90点を目指す方
【当日の戦略】
基本的には前から順番に解いていけばよいと思います。また、各大問の最後の1つの穴埋めは飛ばしても良いと思って解いてよいでしょう。難しい部分に時間を取られるのではなく、ある程度時間をかければ得点できる部分に時間を割くことが重要です。戦略的に問題を飛ばすことを意識して解いてほしいと思います。
【これからの対策】
8~9割を目指す人も、まずは国立の二次試験ベースで学習を進めていき、二次試験で合格点が取れるほどになれば、予想問題などを1か月ほど前から時間を測りながら解くことを定期的に行えば良いでしょう。
重要なのは、共通テストのための勉強よりも二次試験で得点できる力を伸ばすことなので、共通テストは形式慣れの目的で過去問演習をしましょう。
70点~80点を目指す方
【当日の戦略】
問題の状況把握や計算を正確にするところに時間をかけるべきだと思います。各大問で完答を目指すのではなく、出来る問題を確実に解答していくようにすることが重要でしょう。大問の序盤での計算ミスや条件の見落としなどが大きな失点になるので、その点に注意しながら問題を解き、できるところで確実に得点をとり、難しそうな問題には手をつけず、次にいくということを徹底してほしいと思います。
【これからの対策】
基礎的な問題集で抜け落ちがないように学習しましょう。大問の途中の簡単な部分での大幅な失点を減らすために、基礎的な問題集をまずは完ぺきにすることを意識してください。また、苦手な分野を作らないよう学習していくことでも、大幅な失点が防げると思います。
共通テスト数学の勉強法
数学の勉強法
詳しい数学の学習段階については以下の動画をご覧ください
過去問、予想問題集の使用法
共通テスト数学ⅠAの対策として、過去問や各予備校の予想問題集を解くことが有効です。共通テストの1~2か月前に解き始めても十分に間に合うと思います。予備校の予想問題集を1冊やった後に、過去問を行うのがスムーズでしょう。
各予備校の予想問題集は、大きな差はないのでどれを選んでも良いと思います。
駿台 2024-大学入学共通テスト 実戦問題集 数学Ⅰ・A
Z会 2024年用共通テスト実戦模試(3)数学Ⅰ・A
河合塾 2024 共通テスト総合問題集 数学I・A
共通テスト数学が伸び悩んでいる人へ
まずは共通テストの数学が出来ない原因の分析をすることが重要です。仮に時間が足りないとしても、どのような理由で時間が足りないのかを考えましょう。その上で例えば、解法や方針は浮かんでいるが、計算する時間や処理する時間が足りないのであれば、予想問題を用いて、形式慣れをしたり、大問ごとに目標の時間を設定して大問ごとに演習をしたりしましょう。逆に解き方や方針が時間内に思い浮かばない場合は、そもそもの数学1Aの基本的な理解で抜けている部分があると思うので、基本的な網羅系の問題集で理解していない部分をなくすようにしましょう。
このように、共通テスト数学が伸び悩んでいるといっても、何が原因なのかは人によって異なると思うので、その原因を分析しましょう。
また、全体として言えるのは、共通テストだからといって特別視しすぎないことも重要です。
二次試験の勉強をしっかり行い、直前にテスト演習をすれば基本的には十分であると考えます。数学全体の勉強に言えることですが、小手先のテクニックや理解の伴わない暗記をするのではなく、少し時間がかかってでも理解することに努めるべきだと思います。
最後に
今回は、共通テスト数学ⅠAの分析と対策についての記事でした。この記事を読んでみて、自分の目標に合わせた戦略は考えることはできることはできたでしょうか?
この記事を参考に是非、自分の勉強に生かしてみてください!受験勉強頑張ってください!
監修
高賀茂大介
東京工業大学在学。現論会ジャーナル数学・理科担当主任。
現論会では実際に生徒のコーチングも行っている。