【速報!】2025年度共通テスト『生物』を当日講評
2025年1月18日、1月19日に行われる大学入学試験共通テストについて、
今年も当日分析と講評を行います!
2026年の共通テストを攻略するためのおすすめの参考書ルートや勉強法も紹介しているので、
ぜひ最後までご覧ください!
ライター
現論会ジャーナル編集長 寺田貴博
開成中学校・高等学校を経て東京大学農学部を卒業。
現論会を運営する株式会社言楽舎の取締役。
「大学受験参考書を知り尽くしたコーチング指導のプロ」として、日々難関大受験生の自学自走と第一志望校合格をサポートしている。
今年も実際の試験時間で解いて、徹底分析をしました!
全体講評
- 難易度:例年並み
- マーク数が25個で、昨年よりも1個減少した。
- 実験知識そのものを問う問題が昨年よりも減少し、大問1題につき1つずつの計5題となった。
- 実験・考察問題の割合が高くなっている。
生物は2022年、2023年と平均点が低迷していたが、2024年から難易度が易化している。
本年度も知識、実験・考察ともに特別に難しい問題はなく、昨年度と同程度の難易度。
試験形式
試験時間 60分
配点 100点
大問数 5問(昨年より1題減少)
マーク数 25(昨年より1つ減少)
問題構成
大問 | 出題分野 | 設問数 | マーク数 | 配点 |
第1問 | 味覚の多様性 | 4 | 5 | 18点 |
第2問 | アミノ酸の役割と代謝 | 3 | 4 | 20点 |
第3問 | 種の多様性と植物の物質生産 | 4 | 5 | 20点 |
第4問 | 胚発生 | 3 | 4 | 18点 |
第5問 | 植物の環境応答 | 5 | 6 | 24点 |
各大問の講評
第1問
難易度:やや難
知識問題:
神経伝達に関する基礎的な問題が出題された。
実験・考察問題:
味覚の多様性に関するやや難しい問題。一塩基多型(SNP)に関する周辺知識と与えられた図表の処理が求められた。以降に続く大問に比べると差がつく問題といえる。
遺伝子におけるアミノ酸配列、一塩基多型(SNP)、mRNAの翻訳過程のビジュアルをイメージできる人であれば、難なく正答することができただろう。
第2問
難易度:易
知識問題:
タンパク質やアミノ酸の構成や構造に関するやや難しい問題が出題された。
実験・考察問題:
アミノ酸の役割と代謝に関するごく基礎的な問題。プラスミドの処理の問題と、抑制系に関する基礎的な問題が出題された。この大問はぜひ満点を狙いたい。
第3問
難易度:標準
知識問題:
生態系における「共存」に関する易しい知識問題が出題された。
考察問題:
種の多様性と植物の物質生産に関する標準的な問題。はじめに「夏緑樹林が林冠(日光を遮る部分)を形成しており、その影響を受けて林床(地表付近)の草本類の成長の仕方が変わる現象を分析している」と状況整理できていれば、以降登場する図や表も納得して解読することができただろう。
選択肢を選ぶ際の注意点として、「樹木が葉を広げている期間」と「草本類が葉を広げている期間」どちらを指しているのか注意して読み進める必要がある。
第4問
難易度:標準
知識問題:
卵形成の過程に関する標準的な知識問題が出題された。
実験・考察問題:
胚発生に関する標準的な問題。タンパク質が組織形成を誘導する現象を取り扱った頻出テーマ問題である。
操作1と操作2の内容がブラックボックスになっており、結果から操作内容を考察させ、応用例を選択させる問題が特徴的であった。具体的な操作方法が未知のまま進めていくので、他の考察系設問に比べて少し仮説強度の高い問題であった。ただし、全体的に操作が複雑でないため完答しやすい大問である。
第5問
難易度:標準
知識問題:
イネの発芽過程について、胚乳と胚の関係性を問う標準的な問題が出題された。
問3のイネ2品種を交配させたときにいえる遺伝情報の特徴を選ぶ問題も、ほとんど知識問題(流れの理解)であった。
実験・考察問題:
植物の環境応答に関する標準的な問題。光周性に関する問題と、植物の重力屈性とオーキシンの関係に関する問題が出題された。
光周性の設問は長日・中性・短日植物の違いを説明できる必要はあるが、リード文とグラフの読み取りのみでほぼ完答できる。
重力屈性に関する設問では植物ホルモンが1種類しか登場しないため、考察自体は容易であった。ただし、最後の設問では「何もなければ重力にしたがって垂れ下がっていく」という仮定を置く必要があり、混乱したかもしれない。
前年度との共通テストとの比較
難易度としては例年並みである。
昨年と比べて、知識問題が減少し、実験・考察考察問題の割合が微増した。
そのため普段から二次試験に向けてより難易度の高い実験・考察と向き合っている受験生にとっては解きやすいセットとなった。
2022年、2023年の難しい出題を経験したことがある人であれば、本年度は解きやすいと感じられたのではないだろうか。
新高3生・高2生へのアドバイス
生物の学習の本質は知識を丸暗記することではなく、「身につけた知識をもとに、実験や考察に対して正しい判断を下す」ことである。
東大・京大・難関医学部をはじめとして上位の大学ほど考察に要する知識と論証の強度は高くなるが、共通テストおよび旧センター試験は実験・考察問題攻略の最初の足がかりとして非常によい練習になる。
毎年、知識がほぼ不要で、リード文と図表の解釈を行うだけで正答が導ける設問も一定数出題されている。
知識を早期に身に着け、実験・考察問題をなるべく多く経験することが、共通テスト及び難関大合格の糸口である。
次項でおすすめの参考書も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
共通テストを攻略するおすすめルート
スタディサプリ ベーシックレベル生物基礎 / ベーシックレベル生物
- これから生物を勉強したい方におすすめの映像授業です。
- 細かくチャプター分けされており、スキマ時間を有効活用しながら視聴することができます。
- 確認テストや復習問題が用意されているので範囲が広いとおろそかになりがちな知識の定着も同時に進めることができます。
生物合格77講【完全版】2nd edition
- 教科書をわかりやすく解説したインプット系の参考書。二次試験でも生物を使う人はコレ!
- フルカラーで図も豊富に収録されており、同系統の参考書の中でも特に読みやすいです。
- 2022年度以降の新課程に未対応のため、大きな変化はないものの一部注意が必要です。
(「優性/劣性(旧表記)」↔「顕性/潜性(新表記)」の違いなど)
それでも二次試験まで使える詳しさの参考書の中ではもっとも最新のものといえるので、
積極的に有効活用しましょう!
生物問題集 合格177問【入試必修編】
- 共通テスト~難関私大レベルの入試問題を演習できる問題集。
- 『生物合格77講』と連携しているため、できなかったところの振り返りも簡単です!
- この参考書をやりきれば、共通テストを解き切る実力が身につけられます。
大森徹の生物 実験・考察問題の解法
- 過去問に触れてみて、「実験や考察問題が弱点かも…」と思った人におすすめの参考書。
- 考察問題における考え方や解き方はいくつかのパターンに分類することができます。
そのフレームワークを学び、練習することで、実験・考察問題への対応力を上げることができます。 - 『大森徹の解法』シリーズは他にも『遺伝問題の解法』、『計算・グラフ問題の解法』、『記述・論述問題の解法』があるので、自分の必要なスキルに合わせて選んでみてください。
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