【速報!】2025年度共通テスト『歴史総合、世界史探究』を当日講評
2025年1月18日、1月19日に行われる大学入学試験共通テストについて、
今年も当日分析と講評を行います!
2026年の共通テストを攻略するためのおすすめの参考書ルートや勉強法も紹介しているので、
ぜひ最後までご覧ください!
監修
現論会ジャーナル編集長 寺田貴博
開成中学校・高等学校を経て東京大学農学部を卒業。
現論会を運営する株式会社言楽舎の取締役。
「大学受験参考書を知り尽くしたコーチング指導のプロ」として、日々難関大受験生の自学自走と第一志望校合格をサポートしている。
今年も現論会でコーチを務める現役難関大学スタッフが実際の試験時間で解いて、徹底分析をしてくれました!
全体講評
新課程に移行したものの、出題傾向に大きな変化は見られなかった。求められる能力は大きく世界史の基礎知識と資料読み取りの二つであり、両方を同時に求める問題も出題されている。難易度は例年並みだったといえる。読み取り問題でいかに正答率を高められたかがキーになってくる。
試験形式
試験時間 60分
配点 100点
大問数 5問
マーク数 32
問題構成
大問 | 出題分野 | 設問数 | マーク数 | 配点 |
第1問 | 歴史総合 | 8問 | 8 | 25点 |
第2問 | 都市の歴史 | 7問 | 7 | 20点 |
第3問 | 中国・インド史 | 7問 | 7 | 21点 |
第4問 | 大陸を越えた諸国の結びつき | 5問 | 5 | 16点 |
第5問 | 政治権力が食生活に与える影響 | 5問 | 5 | 18点 |
各大問の講評
第1問
歴史総合範囲からの出題で、範囲全体から偏りなく問題が選定されている印象です。難易度は問2問7がやや難であるものの、標準的な難易度で、問題傾向に特殊なものもありません。
問1 オスマン帝国の近代化改革の名称と概要
単純な知識問題であり、難易度は高くない。タンジマートについての理解があれば解答可能である。
問2 北京議定書の年代推定を行う問題
中国と日本の風習おける変化がどの時代に当てはまるか推測する必要がある。
問3 日本と列強の修好通商条約
日本がアメリカをはじめとして列強と修好通商条約を締結したことを知っていれば解答可能である。
問4 錦糸に関する資料読み取り問題
頻出の読み取り問題です。冷静に取り組めば必ず正解できる。
問5 モダンガールについて問う問題
日本史と世界史の融合で、歴史総合独特の傾向である。
問6 イタリアのファシズム
ファシズムの特徴と台頭した地域に関する知識が問われている。
問7 イスラム教教義とイラン=イスラーム革命の概要
授業風景の変化を資料の情報から判断する問題。
イランイスラーム革命の概要も理解している必要がある。
問8 ジェンダー平等に向けた出来事の年代配列問題
3つの出来事の年代を知っているかどうかが問われている。
第2問
世界の都市について問われた大問で細かい知識が要求される問題が多かった印象。年代や出来事と王朝が結びついているかが重要でした。
問1 イスラム教圏へのペスト流行
ペストが流行したイスラム王朝とその都を覚えているかが重要である。
問2 イスラム王朝
問1でペストが流行したイスラム王朝を把握できていていることに加え、王朝についての出来事に関する知識が必要である。
問3 ロシアの都市
ロシアの都市名称変更に関する知識は必須。1991年がソ連崩壊の年であることもヒントになる。
問4 文化史
文化史に関する年代観と詳細な知識が必要。苦手意識を持つ受験生も多かったのではないか。
問5 バンコクの都市計画
ラタナコーシン朝直前のタイ王朝がどのような経緯で滅亡したか、知っていれば解答できる。
問6 地図読み取り
地図読み取り問題と、20世紀のタイ史に関する知識問題の融合。
問7 正誤問題
問1~問6までで扱った都市に関する知識を問う問題。インドシナ戦争の休戦協定はスイスのジュネーヴで行われており、その知識さえあれば解答できる。
第3問
知識を思考力を用いて解答に結びつける問題が印象的でした。問4、問6がそれに該当しますが、焦らずに問題文や資料に向き合えたかが正誤を分けたのではないか。
問1 シェークスピアの作品から読み取れる海戦の歴史の内容を問う問題。
文学史の知識を問う問題でもあるが、資料をしっかり読み取り、既存の知識に擦り合わせて解く問題であった。
問2 問題のテーマとは異なっている、女性が政治に関わることについての問題。
女性が権力を手にした歴史背景を押さえておくと、覚えるべき事柄は非常に少なく、覚えていれば確実に正解できた内容であった。
問3 唐代の文学史の問題。
五経博士と五経正義は名称が似ているので要注意。董仲舒、孔穎達がどの年代で活躍したか覚えておくと正解できる。
問4 知識を要する資料読み取り問題
「註」や「疏」といった知らない単語で混乱させてくるが、鄭玄と孔穎達が活躍した時代を覚えていれば正解できる。
問5 古代インドの歴史についての知識問題
紛らわしい選択肢が多いので正確な知識が求められる。
問6 知識を要する資料読み取り問題
プリニウスの博物誌、玄奘の大唐西域記に共通する手法を資料から読み取ることが必要。
問7 近代中国史
中国が8カ国連合軍に都を占領されたとき、中国でなにが起こっていたか把握できていれば正解できる。
第4問
問5の年代配列問題はやや難しかったものの他の問題は共通テストによくみられる問題や、読み取り問題でした。
問1 資料読み取り問題
イギリスとアメリカの貿易に関する資料はよく問われるので、押さえておきたい。綿花の輸入が増加した背景に産業革命があることが分かれば解答できる。
問2 正誤問題
南北戦争による米英間の貿易量減少は基礎知識である。正解したい問題。
問3 ヨーロッパ世界への外部勢力進出に関する知識問題
ロロとヴァイキングの進路に関する知識問題であり、シンプルではあるが、意外とヴァイキングの動向を覚えきれていない受験生もいたのではないか。
問4 根拠として正しいものを選択する問題
遺跡が移民の住居跡である根拠として正しいもの、つまり、アメリカ先住民が使用していないと思われるものを選べばよい。冷静に考えれば世界史の知識は不要な問題。
問5 海外進出に関する年代配列問題
ポルトガルはヨーロッパ海洋進出の先駆けとなり、15世紀からアフリカに進出している。コロンブスもスペインの支援で15世紀末、アメリカに進出した。このように丁寧に基礎知識を組み合わせれば順序が見えてくるはず。
第5問
第5問は殆どが読み取り問題であり、得点源にしたい大問でした。
問1 資料読み取り問題
新羅百済の位置関係と、資料の読み取りで解答可能。冷静に取り組めば正解できる。
問2 資料読み取り問題
1は、資料から理解できる選択肢である一方、2~4は知識が求められる選択肢である。こうなると単純な選択肢1に疑念が湧くが意外と資料を読むと選択肢1に筋が通っている。
問3 思考力を要する読み取り問題
前後の文脈から正解を判断する現代文色が強い問題。こういう問題こそ冷静に対応し、正解したい。
問4 資料読み取り問題
表とメモを読めば正解できる。
問5 資料読み取り問題
第5問で出された資料全体から適する解答を選ぶ問題。冷静に取り組めば正解できる。
前年度との共通テストとの比較
昨年と比べて大きく変わった部分はやはり歴史総合が追加されたことである。しかし、歴史総合の問題も難易度が高いわけではなく冷静に対応すれば十分に対応できるだろう。世界史探求の問題も従来の世界史Bから大きな変化は見られない。昨年と比較すると難易度は昨年と同程度と言えるだろう。
新高3生・高2生へのアドバイス
選択肢に紛らわされないためにも、出来事が起こった時代とその時の王朝など基本的な知識は確実に覚えよう。簡単な問題でも、知識が不十分だと自信がなくなり誤答を選んでしまう可能性がある。得点を最大化するために、過去問演習で読み取り問題の対策を十分に積んでおきたい。
共通テストを攻略するおすすめルート
『決める!共通テスト歴史総合+世界史探求』
世界史が共通テストまででよい方におすすめのインプット本。
共通テストまでに覚えておくべき重要知識が効率よく取り上げており、フルカラーかつ図も豊富に掲載されているので非常に覚えやすいです!
『時代と流れで覚える世界史用語』
通史を一通り学習した人におすすめ。
段落に複数空いている空欄を穴埋めする形で入試必修の重要語をアウトプットできる参考書。
基本的な世界史用語を周辺のエピソードと共に覚えられるので効率が良いです!
『イチから鍛える世界史 必修編』
世界史知識をより深く定着させたい方におすすめ。
実際の有名大学の入試に出た問題のうち、重要な良問を効率的に演習することができる参考書。
様々な角度で歴史的知識を問われることで、問題を解くための柔軟な考え方が身につきます!
ライター
現論会教務部 塩見義政
大阪公立大学経済学部在籍
現論会天王寺、上本町校コーチ
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