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Home現論会ジャーナル特集記事その他【速報!】2025年度共通テスト『歴史総合、日本史探究』を当日講評

【速報!】2025年度共通テスト『歴史総合、日本史探究』を当日講評

2025年1月18日、1月19日に行われる大学入学試験共通テストについて、
今年も当日分析と講評を行います!

2026年の共通テストを攻略するためのおすすめの参考書ルートや勉強法も紹介しているので、
ぜひ最後までご覧ください!

監修

現論会ジャーナル編集長 寺田貴博

開成中学校・高等学校を経て東京大学農学部を卒業。
現論会を運営する株式会社言楽舎の取締役。
「大学受験参考書を知り尽くしたコーチング指導のプロ」として、日々難関大受験生の自学自走と第一志望校合格をサポートしている。

寺田
寺田

今年も現論会でコーチを務める現役難関大学スタッフが実際の試験時間で解いて、徹底分析をしてくれました!

全体講評

試験の特徴

  • 大問数は6、設問数は33と、2024年度の日本史Bより1問増加した。
  • 2022年の試作問題と比較すると、設問数は1問減少した。
  • 第1問が歴史総合からの出題となり、世界史探究との統合問題が含まれた。
    • 世界史の知識はそれほど多く求められなかったが、日本史Bの教科書のみでは対応しにくい設問もみられ、日本史探究選択にとっては厳しいものであったであろう。
  • 2024年度・2023年度は高校生の「探究」を想定した問題は少し出題されていたが、2025年度はすべての大問が探究型の問題となった。
    • 従来の一般的な問題文の形式は採用されず、全問が資料分析や探究活動を意識した構成であった。
    • 単純な歴史用語の暗記だけでは高得点は見込めないであろう。
  • 史資料の読解を求める設問が多く、時間不足を感じた受験生も多かった可能性がある。

出題内容の特徴

時代

  • 2024年度と同様に原始時代からの出題があり、3世紀に関する設問も出題された。
  • 戦後史は2023年度・2024年度と同じく1970年代までが中心であった。
  • 歴史総合の範囲では1980年代を対象とする問題も出題され、出題範囲が広がった。

分野

  • 政治・社会経済・対外関係・文化の各分野がバランスよく出題された。
  • 2025年度は歴史総合からの出題があり、対外関係史の割合が増加した。

出題形式

  • 年代整序問題は3問(2024年度は5問、試作問題は2問)であった。
    • うち1問は資料を並べ替える問題。
  • 正誤組み合わせ問題では、探究活動に関する設問や図と資料の組み合わせ問題など、試作問題の類題が出題。
  • 空欄補充問題は3問(2024年度は4問)であった。
  • 8択や6択の正誤組み合わせ問題は出題されなかった。
  • 特徴的な設問形式
    1. メモと図の時期の一致を判断する問題、資料と同時期の政府政策を組み合わせる問題が複数出題。
    2. 4文正誤問題において最適な資料を選択する問題が登場。

難易度

  • 問題量:昨年の日本史Bと同程度。
  • 難易度:昨年の日本史Bよりやや難化

試験形式

  • 試験時間 60分
  • 配点 100点
  • 大問数 6問
  • マーク数 33

問題構成

大問出題分野設問数マーク数配点
第1問歴史総合 近代の歴史上の境界8825点
第2問日本史探究 菓子の探究活動5515点
第3問日本史探究 外交と文化の関わり5515点
第4問日本史探究 中世の武士5515点
第5問日本史探究 近世の村5515点
第6問日本史探究 松本清張の年譜5515点

各大問の講評

第1問

  • 問1 地図と国際秩序を結びつける問題
    問題パターン:知識問題
    特徴:世界史要素が強めの設問
    レベル:やや難しい
    解説:主権国家体制と冊封体制の違いを理解していれば選択しやすい。地図上の都市(例:上海、広州)を識別することが鍵。
  • 問2 資料とパネルの読み取りと事前知識を結びつける問題
    問題パターン:資料読み取り×知識
    特徴:日本史要素が強め
    レベル:やや難しい
    解説:資料中の時系列を正しく理解することで、台湾出兵や江華島事件などの歴史的出来事を関連付けられる。清仏戦争の時期を知っていれば、解答がスムーズになる。
  • 問3 会話の空欄補充問題
    問題パターン:知識問題
    特徴:世界史要素が強め
    レベル:標準
    解説:穀物法の制定・廃止に関する知識が必要。貿易政策の観点からイギリスとスペインを比較することで解答可能。
  • 問4 会話の空欄補充問題
    問題パターン:知識問題
    特徴:世界史×日本史のバランスの良い問題
    レベル:標準
    解説:1918年~1939年の歴史的背景を把握し、日本の国際連盟脱退の原因を正確に理解することが求められる。
  • 問5 地図とメモの読み取り正誤問題
    問題パターン:読み取り問題
    レベル:容易
    解説:地図の情報を的確に分析できれば、特別な知識がなくても正解を導ける。
  • 問6 出来事の年代を特定し、グラフに当てはめる問題
    問題パターン:読み取り×知識問題
    特徴:世界史×日本史のバランスの良い問題
    レベル:標準
    解説:世界恐慌、ベトナム戦争、冷戦終結といった歴史的転換点を把握しておくことが重要。
  • 問7 出来事の年代並び替え問題
    問題パターン:知識問題
    特徴:世界史の設問
    レベル:やや難
    解説:キューバ革命、プラハの春、四つの現代化などの出来事を年代順に整理することが求められる。
  • 問8 探究への問いと学習活動を組み合わせる問題
    問題パターン:知識×思考力問題
    特徴:世界史の設問
    レベル:容易
    解説:「ベルリンの壁」崩壊の年代を理解し、それに基づいた学習活動を選択することがカギ。歴史的背景を知ることで適切な考察が可能。

第2問

  • 問1 出来事から人物を特定し、読み取りをする問題
    問題パターン:読み取り×知識問題
    レベル:標準
    解説:工藤平助と田沼意次の関係を理解し、資料の読解を行うことで正答可能。
  • 問2 資料と図の読み取り正誤問題
    問題パターン:読み取り問題
    レベル:容易
    解説:資料と図の関連性を正しく捉え、論理的に考えれば解答は容易。
  • 問3 平安時代の貴族文化の特徴の知識問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:国風文化や書院造に関する知識が求められる。用語の意味を正しく理解していれば解答しやすい。
  • 問4 中国の文化や外交の関わりについての知識問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:禅宗の影響や貿易の発展に関する知識が求められる。文化交流の視点から考察することが重要。
  • 問5 会話文と知識を掛け合わせた正誤問題
    問題パターン:読み取り×知識問題
    レベル:標準
    解説:会話文をしっかり読み、そこから得られる情報と既存の知識を結びつけることが必要。

第3問

  • 問1 限られた年代の中での出来事を整理する問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:やや容易
    解説:3世紀以前に中国大陸や朝鮮半島から伝わった遺物の知識が必要。時代背景を理解し、適切でないものを選択する力が求められる。
  • 問2 8~9世紀の中国や朝鮮との外交に関する正誤問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:やや容易
    解説:当時の国際関係や遣唐使、新羅との関係についての知識が鍵。歴史的背景を正しく押さえていれば解答しやすい。
  • 問3 渤海の知識と資料の読み取りをする問題
    問題パターン:読み取り×知識
    レベル:標準
    解説:渤海の成立と存続期間、中国の王朝の変遷、日本との外交関係などを総合的に理解する必要がある。多面的な知識が求められるため、やや難度が高い。
  • 問4 九州北部の軍事的な重要性に関する2×2の正誤問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:やや難
    解説:古代における九州北部の防衛拠点や対外関係に関する知識が求められる。健児の制や刀伊の入寇などの背景を理解していれば正答可能。
  • 問5 文化財と歴史的事実を掛け合わせる正誤問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:文化財の歴史的背景や、それが示す文化の発展過程を理解することが必要。日頃から資料集を活用している受験生には解答しやすい問題。

第4問

  • 問1 鎌倉時代の御家人に関する正誤問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:鎌倉時代の御家人制度や、彼らの権利・義務についての基本的な知識を問う問題。封建制度の仕組みを理解していれば正解しやすい。
  • 問2 図から出来事の特定、資料から考察を求められる問題
    問題パターン:読み取り×知識問題
    レベル:標準
    解説:史料の図が示す歴史的出来事を特定し、それに関連する資料の読解を行うことが求められる。元寇に関する知識があれば解答しやすい。
  • 問3 宗教の空欄補充問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:やや難
    解説:戦国時代の宗教についての深い知識が必要。黄檗宗などの比較的マイナーな宗派に関する知識があれば正答しやすい。
  • 問4 貨幣に関する知識の正誤問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:戦国時代の経済活動と貨幣制度の知識が求められる。教科書レベルの内容を把握していれば正答可能。
  • 問5 中世の武士に関する知識の正誤問題
    問題パターン:読み取り×知識問題
    レベル:やや容易
    解説:探究した内容として正しいものを選択する問題。戦国大名の政策や下剋上の風潮に関する知識があれば正答しやすい。資料中の陶晴賢や会話文のヒントを活用すると解きやすい。

第5問

  • 問1 太閤検地や近世の百姓に関する組み合わせの正誤問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:太閤検地や土地制度の変化、近世における百姓の役割と生活についての知識を問う問題。基本的な理解があれば解答可能。
  • 問2 村掟の資料から、近世の村の運営について問う読み取り問題
    問題パターン:読み取り問題
    レベル:容易
    解説:5人組制度の連帯責任の知識がなくても、資料の内容を正確に把握すれば正答を導きやすい。
  • 問3 江戸時代の百姓と村についての年代並び替えの問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:分地制限令、青木昆陽、旧里帰農令や人返しの法といった出来事を年代順に整理できれば、正答が導ける。
  • 問4 鎌原村のメモの内容に関する組み合わせの正誤問題
    問題パターン:読み取り問題
    レベル:容易
    解説:資料を丁寧に読み取ることで、特別な知識がなくても解答しやすい問題。
  • 問5 近世の村に関する知識を用いながらグラフを読み取る問題
    問題パターン:知識×読み取り問題
    レベル:標準
    解説:近世の村の経済や社会構造の知識と、グラフのデータを照らし合わせながら解答する力が求められる。

第6問

  • 問1 資料の読み取りと事前知識を組み合わせた問題
    問題パターン:読み取り×知識問題
    レベル:標準
    解説:史料を基に正誤を判断し、西南戦争の開戦と同時期の政府の政策について理解を求める問題。複数の知識を組み合わせる力が問われる。
  • 問2 資料の読み取りと事前知識を組み合わせた問題
    問題パターン:読み取り×知識問題
    レベル:標準
    解説:①と②は資料の直接的な読み取りで解答できるが、③と④の選択には資料2の時期を特定する必要がある。時代背景を把握できていれば正答しやすい。
  • 問3 マスメディアに関する年代並び替え問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:やや容易
    解説:Iは戦後、IIは昭和の戦時中、IIIは大正・昭和初期と、それぞれの時代背景を知っていればおおよその時期を特定できる。基本的な時系列理解が求められる。
  • 問4 占領期における出来事についての正誤問題
    問題パターン:知識問題
    レベル:標準
    解説:破壊活動防止法が、占領期に制定された法令が主権回復とともに失効するために作られたものであることを知っていれば、時期の誤りを特定できる。
  • 問5 二つの疑問あ・いと、それぞれの調べ方として最も適当なものをW~Zから選択する問題
    問題パターン:読み取り×思考力
    レベル:やや容易
    解説:あは疑問と調べ方の整合性を考えることで判断しやすい。いは時代背景を踏まえ、規制緩和・構造改革が小泉純一郎内閣時代であることを知っていれば、適切な選択が可能。

前年度との共通テストとの比較

歴史総合の大問の配点が25点であり、やや世界史探究寄りの内容であったため、日本史探究のみ勉強していた人にとってはやや難化しただろう。とはいえ、しっかり歴史総合の基礎の土台を高1・2生のときに身に付けている人にとっては標準的なレベルである。また設問の特徴として、探究要素がより深くなり、ただ用語の知識だけを覚えているだけでは高得点は望めない試験に移り変わっており、今後も続くだろう。

新高3生・高2生へのアドバイス

通史学習と問題演習を並行して進めよう!

共通テストでは、歴史的事象の意味や相互の関連性を考察する力が求められます。特に、史資料を用いた問題や仮説を検証する問題が出題されるため、読解力と分析力を鍛えることが重要です。

学習のポイント

  • 教科書・インプット用参考書を軸に学ぶ:入試問題は教科書を基に作成されるため、通史学習の基本は教科書やインプット用参考書の熟読です。
  • 演習を早めに開始する:「通史が終わってから演習」ではなく、学習と演習を同時進行で進めよう。
  • 史資料読解を意識する:教科書の図版やグラフ、資料をただ眺めるのではなく、「そこからどのような情報が得られるか」を考察する習慣をつける。

「考えながら」覚える習慣をつけよう!

日本史は暗記科目と思われがちですが、単なる暗記では入試問題には対応できません。歴史の流れを理解しながら学習することが大切です。

考えながら覚えるための工夫

  • 教科書を精読する:ただ読むのではなく、関連する知識を結びつけながら理解する。出来事、年代、人物などをつなげましょう。
  • 歴史の流れをつかむ:年号を暗記するだけでなく、因果関係や背景を考えましょう。
  • 文化史は多角的に学ぶ
    • 文化史を学ぶ際には、写真で特徴を確認しましょう。
    • 特に文化史の性格や政治・外交との関連性を考える。

歴史総合の学習ポイント

歴史総合の教科書は日本史探究とは異なり、世界史的な視点が加わるため、どこまで学ぶべきか迷う受験生も多いでしょう。

効果的な取り組み方

  • 中学歴史の知識を基に学ぶ:世界史的な内容は、中学歴史で扱われた範囲を中心に理解を深める。
  • 世界史との関連を意識する:日本の歴史だけでなく、グローバルな視点で歴史を捉える。

共通テストを攻略するおすすめルート

体系学習+用語暗記→問題演習+テーマ史・史料対策→過去問が基本的なルートになります。このルート通りに学習を進めていけば、共通テスト9割以上は可能です!

日本史体系学習:日本史探究授業の実況中継

  • 通史系で新課程にいち早く対応した参考書です!
  • 教科書を噛み砕いた説明で、初学者にも読みやすいものになっています!

歴史総合体系学習:カリスマ講師の 日本一成績が上がる魔法の歴史総合ノート

  • 歴史総合に関する知識が手書き風まとめノート形式で図説されている参考書です。
  • 各項ごとに、「日本史」「世界史」表記があるため、未習範囲のみ学習すればよい!

用語暗記:時代と流れで覚える!日本史用語

  • 段落の穴埋めを行う形で、代表的な歴史用語のアウトプットを行うことができる。
  • 歴史的知識は1対1対応の単線的なつながりでなく、どれだけ関連知識を有機的に結びつけることができるかが、定着力の差、対応力の差につながる。
  • 段落単位で学習をすることで、複数の知識をひとかたまりで覚えることができるため効率が良い。

日本史探究問題演習:イチから鍛える日本史 必修編

  • 『イチから鍛える日本史』三部作は3冊で日本史で問われる知識がオールカバーされることがコンセプトになっている。他の難易度と合わせて使うと効果的です。
  • 特にこれに続く発展編は問題数が少なく、おそらく必修編と合わせて勉強して学習が完成するようになっている。

歴史総合問題演習:よく分かる高校歴史総合 問題集

  • Lecture完了後、共通テストの過去問に突入してOKである。
  • そこで、問題演習量を確保することを目的として本書を利用する。

テーマ史・史料対策:スタディサプリ高3 日本史〈テーマ史・史料編〉

  • 沖縄史・北海道史・女性史・戦後の国際社会の4つのテーマと全時代の代表的な史料を学ぶことができる。
  • まずはこのテキストに掲載されている内容を覚えて、志望校の過去問や共通テストで不足を感じた場合のみ、追加のテキストを用意しましょう!

過去問演習:過去問・予想問題集

  • 赤本の解説は最低限の解説であるため、自助努力で効果的な復習を行う難易度が高いです!
  • 青本・黒本の方が解説が充実しているので、出版されている場合はそちらを使いましょう!

ライター

横井裕人

早稲田大学政治経済学部在籍。
現論会新宿校・立川校教室長。
現論会では受験生のコーチング指導も行っている。

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