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多国籍化の波、日本の教育現場でいま何が起きているのか(後編)

更新日 : 2025年10月5日

前編では、日本で暮らす外国籍の子どもたちの就学状況と、それに対応するための行政の取り組みについて見てきました。しかし、教育現場の多国籍化が進むにつれて、教育を担う「教員」のあり方も問われています。後編では、外国籍の教員が直面する現状と、それにまつわる議論に焦点を当てていきます。

「当然の法理」が教員のキャリアを阻む

日本では、公務員は「公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる」とされ、日本国籍が必須であるという「当然の法理」が存在します。この考え方は、公立学校の教員にも適用され、日本国籍を持たない人が「教諭」になることを阻んできました。

しかし、1991年に日韓両政府が協議した「日韓覚書」により、日本国籍を持たない人にも教員採用試験の受験が認められ、採用への道が開かれました。この進展があったにもかかわらず、合格した外国籍教員は「任用の期限を附さない常勤講師」として採用されることが文部省(当時)の通知で示され、この状況は30年以上変わっていません。

社会の「無関心」が、最大の問題

たとえば、公立高校で国語を教える外国籍の方がいらっしゃるとしましょう。この方は、生徒や同僚の前では同じ「先生」として扱われる一方で、事実上は「教諭」ではないことを突きつけられる瞬間があります。

なぜなら、書類の書式が「教諭」であることを前提としていたり、主任になれないことで(自分は日本国籍を持っていないのだと)同僚に説明する場面があるからです。もっとも、この問題に対する社会の「無関心」が、最大の問題といえるかもしれません。

その上、「当然の法理」には、いくつかの曖昧さや矛盾も指摘されています。

  • 法的根拠の曖昧さ:「当然の法理」は憲法や法律に明記されているものではなく、1953年の内閣法制局の見解に基づいています。
  • 私立学校との違い: 私立学校は公立学校と同じ「一条校」でありながら、国籍を問わず教諭や管理職に採用できるという違いがあります。
  • 高等教育機関との違い:国公立大学では1982年から外国籍の教員の任用が可能となり、今では一般的な光景となっています。

これらの点から、なぜ初等中等教育の公立学校の教諭にだけ国籍が条件とされ続けるのか、その合理性が問われています。

多国籍化時代における教員の役割

「当然の法理」は、憲法や法律に明記されたものではなく、1953年の内閣法制局の見解に端を発しています。この考え方について、外国籍教員の問題を研究する専門家は、「魔法の言葉になってしまっている」と批判しています。

教諭に日本国籍が必要とされる根拠は、その曖昧さから疑問視されています。例えば、私立学校は公立学校と同じ公的な性質を持った「一条校*1 」であるにもかかわらず、国籍を問わず教諭や管理職になれます。前述のとおり、国公立大学では1982年から特別措置法により、外国籍でも教授などへの任用が可能となり、今では当たり前の光景となっています。

日本で暮らす外国人の人口が増え、日本の学校で学ぶ2世や3世の子どもたちが教師を目指す例も増えています。そうした子どもたちが、教員採用試験に合格しても、国籍を理由に「教諭」として認められないという現実があります*2

外国籍の教員は、生徒の文化背景を理解し、多文化共生教育を推進する上で大きな力となる可能性があります。しかし、国籍によって能力や実績に関わらずキャリアパスが制限される現状は、日本の教育の多様性を阻害する可能性も否定できません。一方、初等中等教育における教員としての役割の重要性から、(日本文化の継承者という文脈からも)国籍所持を必須要件としていることに対する理解もできます。

どのような立場を取るにせよ、激しい主張に安易に流されることなく、(統計や公的機関が発表する)ファクトに基づいた考察と議論が必要です。目下、現実として教育現場の多国籍化が進む今、教員の国籍要件のあり方について、私たちが改めて考えるべき時期に来ているのかもしれません。

🎥「おしえて!日本の小学校(英語版)」Tell Me About Elementary School in Japan!


外国人児童生徒等やその保護者に対し、日本の学校での生活の様子を知ってもらうためのアニメーション動画です(1動画あたり10分程度)。日本語の他に、複数言語版も制作していますので、学校における初期指導や、就学前の情報提供などにご活用ください。 The movies introduce elementary schools in Japan and are mainly for those children who will be enrolling in Japanese elementary schools, or parents who are planning to have their children go to a Japanese elementary school. Each movie is about 10 minutes in length.

学校の行事、学校生活の習慣やきまり、毎日の持ち物など、絵カードを用いてわかりやすく紹介しています。 Using picture cards, this movie introduces school events, school rules and things to bring to school every day.


*1  一条校(いちじょうこう)とは、学校教育法第1条に規定されている学校の総称で、公立・私立を問わず、日本の一般的な「学校」を指します。具体的には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、特別支援学校などが該当します。

(一条校でない)「インターナショナルスクールを卒業した」というだけでは、共テが受験できないし、日本の大学入学資格もありません。一条校であるかどうかは、日本の学校制度における学歴の証明や、教育課程の基準となる学習指導要領への準拠などに関わります。

*2 本邦では、国籍取得において「血統主義」を採用しているため、日本に出生することだけでは、国籍取得の要件を満たすことができません。ちなみに、「生地主義」を採用している国家では、出生で国籍取得要件を満たします(もちろん、どちらが良いということではありません)。

たとえば、両親が日本国籍保有者であっても、母親がハワイで出産すれば(居住者である必要すらありません)、出生した者はアメリカ合衆国国籍を取得します。もっとも、日本の国籍法からすれば、両親が日本人ですので日本国籍も与えられ、その子どもは重国籍者となり、20歳に達するまでに国籍の選択が必要になります。「民法の一部を改正する法律」(令和4年4月1日施行)

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