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OECD報告書が示す日本の教育格差と挑戦(前編)|現論会 厚木校

更新日 : 2025年9月18日

先日公表されたOECD*1 の “Education at a Glance 2025: Japan”(図表でみる教育2025年版)*2は、日本の教育が抱える課題と、世界に誇るべき強みを同時に浮き彫りにしました。この報告書は、単なる数字の羅列ではなく、大学受験を目指す生徒、そして支える保護者が、これからの学習戦略を考える上で重要な示唆を含んでいます。

高学歴社会の光と影:世代を超えて続く教育格差

報告書によると、日本の若年成人(25~34歳)における高等教育卒業者の割合は、OECD加盟国の中でもトップクラスであり、66%という数字はOECD平均の48%を大きく上回ります。このデータは、日本が高い教育水準を維持していることの証左と言えるでしょう。しかし、この光の裏には、看過できない影も存在します。

また、報告書は教育の不平等が世代を超えて持続している現実を指摘しています。若年成人のうち、少なくとも片方の親が高等教育を受けている場合、その72%が同様に高等教育卒業資格を取得しています。一方で、親が後期中等教育(英語からの訳出)を卒業している場合は、その割合はわずか43%に留まります。この29ポイントという差は、OECD平均の25ポイントよりも大きく、日本の教育システムが抱える構造的な課題を浮き彫りにしています。このデータは、大学受験が個人の努力だけでなく、「家庭の教育環境」という目に見えない要素にも左右される「不平等な競争」の側面を持っていることを示しています。

教育投資の現状:公的支出の課題と家計の負担

次に、教育への支出を見てみましょう。日本は教育への公的支出が対GDP比でOECD平均を下回っています。特に、高等教育段階における公財政支出は、他のOECD加盟国に比べて顕著に低いというデータが示されています。日本の高等教育の在学者一人当たりの公財政教育支出は8,184米ドルで、OECD平均の15,102米ドルの約半分です。

このギャップを埋めているのが、各家庭からの私的資金であり、日本の大学教育費の多くが「公的投資」ではなく「家計の自己責任」として負担されている現状を裏付けています。一方で、在学者一人当たりの支出が一人当たりGDPに占める割合はOECD諸国の中でも高い水準にあり、日本の各家庭が、経済力に対して非常に大きな教育費を捻出していることを示しています。この状況は、親世代の経済的背景が子どもの高等教育進学に影響を与えるという前述の課題と密接に結びついています。

教員の現実:待遇と働きがいの狭間で

教員に関するデータも興味深い結果を示しています。OECDの報告書によると、日本の初等中等教育教員の法定給与は、OECD平均を下回っています(米ドル建て指標のため、為替レートの影響も大きいと思われますが)。しかし、一方で「未充足教員」の割合は0.2%と非常に低く、教員が不足しているという実態は数字上では見えにくい状況です。

この背景には、授業時間以外の活動に多くの時間を費やす日本の教員の献身的な働きがあると思われます。報告書は、日本の学級規模がOECD平均(20.6人)より3割も大きい(26.7人)にもかかわらず、生徒がPISAで好成績を収めている点を「非常に効率的な教育」と評価しています。しかし、この「効率性」は教員の高い倫理観と献身性によって支えられている、と読み取ることもできるでしょう。

受験生への示唆と私たちの役割

これらのデータは、大学受験が単なる学力勝負ではないことを改めて教えてくれます。家庭環境や経済的な背景、そしてそれを支える教育システムそのものまで、様々な要因が複雑に絡み合っているのです。

最も大切なことは、この現実を正しく理解し、その上で自分に最適な戦略を立てることです。限られた資源(時間、お金、環境)を最大限に活かし、どうすれば志望校合格にたどり着けるのか。本校では、生徒一人ひとりの状況と向き合い、対話を通じて最適な学習計画を共に築き上げていきます。大学受験を通して、自らの人生を主体的に切り拓く力を育むこと。これこそが、私たちが最も大切にしている教育理念です。

確かに、教育格差は数字の裏に隠された、世代を超えて続く深刻な問題です。保護者の文化資本*3 や家庭の経済状況が、子どもの将来に大きな影響を与えるという現実は、多くのデータを紐解くことで明らかになります。

しかし、私たちはこの不平等な現実を、ただ嘆くのではなく、変えていくことができると信じています。本校で培われる知力と経験は、単に自己の成功のためだけに留まりません。この場所で育んだ「自ら考え、行動する力」が、将来、社会の不平等を認識し、より良い未来を築くための行動へと結びつくことでしょう。

恵まれた環境に生まれ育った人物は、相応に社会に貢献する義務、すなわちノブレス・オブリージュ*4 を負います。その義務を果たし、かつその努力と挑戦の過程を誇らしく楽しむ権利もまた、あなたの眼の前にあるのです。


*1 OECDとは、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)の略 称で、世界38カ国が加盟する国際機関です。本部はフランス・パリ。

主に、加盟国の経済成長、貿易の拡大、そして発展途上国の支援を目的として、経済や社会のさまざまな分野について調査・分析を行っています。その成果として、国際比較が可能なデータや統計・報告書を公表しています。世界最大のシンクタンクともいわれることも。

本邦からも複数の省庁が、それぞれの専門分野に関連する委員会や部局に職員を派遣しており、各国の代表と知見を交換し、政策立案に貢献しています。

日本の教育に関する報告書「Education at a Glance(図表でみる教育)」も、OECDが毎年公表している主要な報告の一つです。この報告書は、教育制度の国際比較を行う上で、非常に重要な情報源となっています。

*2 Education at a Glance 2025: Japan 

  図表でみる教育2025: 日本

  図表でみる教育(Education at a Glance)OECDインディケータ 文部科学省

*3 文化資本(Cultural Capital):フランスの社会学者・哲学者ピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu)の独創的な概念。家庭内で日常的に交わされる言葉遣いや会話、読書習慣、あるいはクラシック音楽や美術館に親しむといった文化的素養、学歴や資格として社会的に制度化されたものまで含まれます。

OECD報告書が示す日本の教育格差と挑戦(後編)| 現論会 厚木校

*4 noblesse oblige:noblesse(高貴さ、貴族)とobliger(義務を負わせる、強制する)を合わせ「高貴たるものの義務」を意味するフランス語(後に英語借用)。

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本校は、保育園 KIDS SMILE LABO(2F)、レストラン 2343 FOOD LABO(3F)が入るビル4階にございます。上質な環境で、学習に集中したい方におすすめです。

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