AIは万能ではない|受験勉強で「使っていいこと」「頼りすぎてはいけないこと」
更新日 : 2025年11月13日
最近は、勉強にAI(ChatGPTなど)を使う高校生が増えています。
ただ、AIは正しく使えば大きな味方ですが、
使い方を間違えると危ないこともあります。
この記事では、
「AIに何ができて、何ができないのか」
「受験勉強で使うべき場面・使うべきでない場面」
を明確にしながら、正確に答えを引き出す質問(プロンプト)も紹介します。
■ AIにできること:受験勉強の“補助”として優秀
AIは「理解を深めるための補助」として非常に有効です。
具体的には、次のような作業が得意です。
- わかりにくい説明を「高校生向け」に噛み砕く
- 英単語・古文単語の例文をつくる
- 文章の構造説明(英文・現代文)
- 数学の解法の流れを整理する
- 暗記した内容の「確認用の質問」を作ってもらう
- 自分の説明をチェックしてもらう
これらはAIが最も得意とする領域で、
“思考の補助”として使うと学習効率が上がります。
しかし同時に、AIには明確な弱点があります。
■ AIにできないこと:思考力・試験力そのものは鍛えられない
AIは万能に見えても、次のような作業は非常に苦手です。
- 試験で必要な「思考のプロセス」を育てること
- 問題を見て自力で“方針を立てる力”を鍛えること
- 数学の記述・英作文の採点精度を保証すること
- 最新の入試問題の細かい傾向を正しく反映すること
- 誤答が混ざるときがある(特に専門分野)
AIは「答えっぽい文章」を非常に自然につくりますが、
その答えが正しいかどうかは別問題です。
そして一番大事なことはここです。
AIは「自分で考える力」を絶対に代わりにはできない。
受験で求められるのは
- 問題文からヒントを拾う力
- 条件を整理する力
- 自力で解答方針を立てる力
これらはAIに頼るほど鍛えられなくなってしまいます。
AIが間違った方向に導くケースもあるため、
「AIの回答を鵜呑みにする」のは危険です。
■ 使い方を誤るとどうなる?典型的な“失敗パターン”
実際に多いのは次の3つです。
- ① 自分で考えずにAIに丸投げする
思考力が鍛えられない・記憶に残らない。 - ② AIの誤答に気づけない
特に数学・理科の計算系は不正確な場合がある。 - ③ “わかったつもり”で終わってしまう
AIの解説を読んで満足し、実際の問題では解けない。
AIは便利ですが、使い方を誤れば逆効果になることを理解しておきましょう。
■ 正しく使えば強力な味方|受験勉強でのおすすめ活用法
AIを使うべきタイミングは明確です。
「自分で考えたあと、確認に使う」こと。
● 使いどころ①:理解の再確認
自分で解法を考えたあと、AIに
「この解き方が正しいかチェックしてください」
「この考え方のどこが抜けていますか?」
こう質問すれば、自分の理解の穴を早く見つけられます。
● 使いどころ②:要点整理
教科書の内容を理解しにくいときは
「高校生向けに要点だけ整理して説明してください」
「この単元を10行以内でまとめてください」
こういった要望には極めて強いです。
● 使いどころ③:暗記確認用の問題作成
AIは「問題を作る」のが得意です。
「英単語テストを20問作って」「古文単語の例文を作って」などは効率が上がります。
■ AIから正確な回答を引き出す“プロンプト(質問文)”の作り方
AIは質問の質によって答えの精度が大きく変わります。
次の3ステップを守るだけで、出力が安定します。
● ① 前提を伝える
例: 「高校2年生が数学Ⅱの“積分”を勉強中です」
「関関同立志望で英語長文が苦手です」
● ② 目的を伝える
例: 「解法の流れだけ理解したい」
「基礎から丁寧に説明してほしい」 「要点だけを箇条書きにしてほしい」
● ③ 制約条件をつける
例: 「200字以内で」 「高校生でも理解できるように」 「専門用語は使わずに」 「誤情報は除外して、根拠がある部分のみ」
この3つを組み合わせると、精度は一気に上がります。
■ “AIを使って成績が伸びる人”と“伸びない人”の違い
AIは正しく使えば確実に勉強効率が上がります。
ただし、伸びる人には共通点があります。
- 自分でまず考えてからAIを使う
- AIの答えを必ず検証する
- 自分の言葉で言い換えられるか確認する
- AIに質問するとき“目的”を明確にしている
逆に、伸びない人は
- 最初からAIに答えを出させる
- AIの文章を丸暗記する
- 誤情報に気づかずそのまま覚える
AIは学習の方向性を決めるのではなく、理解を助ける存在と考えるべきです。
■ 最後に:AIは“思考を代わりにしてくれる存在”ではない
AIを使うこと自体は賢い選択です。
ただし、AIを使う目的は
「自分で考えるための準備を手伝ってもらう」こと。
自分で考える力が弱いほど、大学入試では不利になります。
その力はAIでは鍛えられません。
AIを使うときは、
“補助として賢く使う”という姿勢を忘れないようにしましょう。