【物理】公式暗記では点が取れない!「なぜそうなる?」から始める、力学を得点源に変えるための現象理解のコツ
更新日 : 2025年7月23日
運動方程式、エネルギー保存則、運動量保存則…。公式はすべて覚えたはずなのに、いざ問題を前にすると、どの公式を使えばいいのか分からず、手が止まってしまう。
力学の勉強で、こんな経験はありませんか?
もし、あなたが物理の成績が伸び悩んでいるなら、それは才能や演習量の問題ではなく、物理という科目に対する「向き合い方」が根本的に間違っているのかもしれません。
この記事では、公式暗記から脱却し、物理現象そのものを理解することで、力学を得点源に変えるための「思考のコツ」を伝授します。
あなたは物理を”数学の計算問題”だと勘違いしていませんか?
物理が苦手な生徒の多くは、問題文を読むとすぐに「使える公式はないか?」と、頭の中の公式リストを探し始めます。これは、物理の問題を、数値を代入するだけの”数学の計算問題”だと勘違いしている証拠です。
しかし、それは全くの逆です。物理の根幹は、まず目の前で起きている「現象」を捉えること。そして、公式とは、その現象を説明するための「言語」に過ぎません。物語を理解せずに、正しい言葉を選べないのと同じで、現象を理解せずに、正しい公式を選ぶことは不可能なのです。
「現象理解」を深める3つの思考ステップ
では、どうすれば「現象」を正しく捉えることができるのか。力学の問題を解く際に、必ず以下の3ステップを踏んでください。
Step 1: 【図の徹底】問題の状況を、必ず自分の手で図に描く
問題集に綺麗な図が描いてあっても、それを眺めるだけでは不十分です。必ず、自分の手でフリーハンドで図を描き、物体に働くすべての「力の矢印」を書き込んでください。(重力、垂直抗力、摩擦力、張力など)。言葉だけの情報を、絵という具体的なイメージに変換するこの作業が、現象理解の第一歩です。
Step 2: 【実況中継】物体になりきって、物語を語る
式を立てる前に、その物体になりきって「何が起きているか」を言葉で説明(実況中継)してみましょう。「いま俺は、ざらざらした斜面の上にいる。下向きに重力がかかってるけど、斜面が垂直抗力で押し返してくれてる。滑り落ちたいけど、摩擦力がそれを邪魔してるな…」のように、現象を一つの「物語」として語ることで、力の関係性や運動のイメージが明確になります。
Step 3: 【立式】数式に”意味”を込める
最後に、その物語を数式という「言語」に翻訳します。ただ「F=ma」と書くのではありません。「(斜面を滑り落ちようとする力)ー(それを邪魔する摩擦力)=(物体の質量)×(結果として生じる加速度)」というように、数式の各項が、物語のどの要素に対応しているのかを意識しながら式を立てます。これにより、あなたの立てる式には、意味と確信が宿ります。
現論会の指導は、この「なぜ?」からしか始まらない
この3ステップ、特にステップ2の「実況中継」やステップ3の「意味づけ」を、一人で徹底するのは簡単ではありません。私もよくぶつぶつ一人で教科書を物体に見立てて実験してみたものです。それくらい習得するのはかなり時間と労力がかかります。
一般的な個別指導では、間違えた生徒に対して「この問題は、この公式を使うんだよ」と”解法”を教えてしまいがちです。しかし、それでは根本的な解決にはなりません。
私たち現論会のコーチは、生徒の解答を見て、まずこう問いかけます。
「式を立てる前に、そもそもこの物体には、全部で何個の力が、どっち向きに働いているか、言葉で説明してくれる?」
公式以前の「現象理解」の段階にズレがないかを確認し、生徒自身の言葉で物語を再構築させる。このプロセスこそが、物理の根本的な力を養成する唯一の方法だと知っているからです。私たちは、解法ではなく「思考法」を指導します。
物理の成績は、公式を覚える量ではなく、現象をどれだけ深く理解しているかで決まります。公式をただ当てはめるだけの勉強から、卒業しませんか?
無料相談では、あなたが今一番理解に苦しんでいる問題を一つ持ってきてください。その問題に隠された「物語」を、一緒に読み解いていきましょう。