点数とどう向き合うのか
更新日 : 2026年1月20日
共通テストから数日が経ち、自己採点の結果や予備校の判定といった「数字」が、あなたの頭の中を占領してはいませんか。判定のアルファベットや順位といったデータは、確かにこれからの戦略を立てる上では大切な指標になります。でも、その数字がいつの間にか「あなたという人間の価値」そのもののように感じられてしまっているなら、少しだけ立ち止まって、心の重荷を下ろしてほしいなと思うのです。
社会学には「ラベリング理論」という考え方があります。他者から「あなたはこういう人だ」というラベルを貼られ、自分でもそれを内面化してしまうことで、そのラベル通りの行動や自己イメージに縛られてしまう現象のことです。受験期において、私たちは無意識のうちに自分を「受験生」という狭い枠に閉じ込め、模試の点数や判定というラベルで自分を評価してしまいがちです。私は、今この時期こそ、その剥がれにくいラベルを一度そっと剥がして、等身大の自分を見つめ直すことが大切なのではないかと感じるのです。
あなたは「偏差値◯◯の受験生」である前に、好きな音楽に心を動かし、誰かの優しさに感謝し、将来への期待と不安を抱えた、たった一人の豊かな人間です。試験の結果がどうであれ、あなたがこれまでの数年間で培ってきた忍耐力、知的好奇心、そして机に向かい続けた誠実さは、判定システムには決して表れないあなただけの真実です。数字というラベルは、あなたの進路をガイドしてはくれますが、あなたの人生の豊かさまでは決めることはできません。
今の自分を「判定」という狭い物差しで測るのをやめてみると、不思議と心が軽くなり、次の二次試験や私大入試に向けて、より本質的なエネルギーが湧いてくることがあります。それは、誰かに決められた目標ではなく、「自分が何を学びたいのか」「どんな人間になりたいのか」という、内側から湧き出る声に気づけるようになるからかもしれません。私は、その自由な視座こそがこの厳しい冬を乗り越えるための本当の知恵になるのではないかと考えています。
ラベルに惑わされず、あなたという存在の輪郭を、自分自身の言葉で描き直してみてください。判定がどうあれ、あなたが歩んできた努力の道のりは、誰にも否定できない確かなものです。その誇りを胸に、また明日から、一人の人間として誇り高くペンを握ってほしいと願っています。あなたの価値は、たった数枚の解答用紙で測りきれるほど小さなものではないのですから。