思考の領分を分かつ
更新日 : 2025年12月26日
今この瞬間に、私たちは多くのことに心を奪われがちになります。試験本番が近づけば、その傾向はさらに強くなるでしょう。しかし私は、その心を奪う事柄一つ一つを、立ち止まって見つめ直す必要があると感じるのです。
私たちの人生で生じる出来事には、自分自身の力でどうにかできるものと、そうではないものの二種類が存在します。この分別を、頭の中で明確に線を引く作業は、心の平静を保つための土台になると私は深く思うのです。
例えば、過去の模試の結果はどうだったか。試験会場の環境はどうなるか。出題される問題は自分の得意分野か。これらは残念ながら、いくら案じても、いくら悔やんでも、今この瞬間から変えることはできません。手の届かない領域だと認識することが大切です。
一方で、今この瞬間から取り組める学習の時間。テキストを読み進める集中力。問題を解く上での手順の確認。そして、試験中に発揮する冷静な判断力。これらはすべて、自分の意志と努力によって完全に制御できる領域にあります。この差を意識するだけで、エネルギーを注ぐべき先が明確になるはずです。
特に試験本番においては、想定外の事態が起こる可能性もあります。それは制御不可能な領域の出来事です。そこで肝心なのは、その状況に対して自分がどう反応し、どう行動するかです。その反応と行動だけは、常にあなたの手の中にあります。
難しい問題に直面したとき、焦燥感に駆られるかもしれません。しかし、その焦燥感そのものを、あなたが解くべき問題として捉えてみてください。焦りを感じることは自然なことです。しかし、その焦りに飲まれず、次に取るべき行動、つまり制御可能な「一歩」を踏み出すことに意識を集中する。この訓練こそが、試験という極限の状況において、あなた自身のパフォーマンスを最大限に引き出す鍵になると私は強く感じるのです。
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