入試が近づくにつれて、苦手分野の克服に多くの時間を費やしていることと思います。この努力は非常に尊いものですが、なかなか成果が見えず、心ばかりが疲弊してしまう。そんな状態を、私たちはスランプと呼んでいるのかもしれません。

苦手なものと向き合い続けることは大きなエネルギーを消耗します。心が疲れてしまった時、そこでさらに無理に苦手分野のテキストを開き続けるのは、多くの場合、非効率な結果に終わってしまいます。脳が拒否反応を起こしている状態で、知識を詰め込もうとしても、記憶は定着しないからです。

ここで、あえて一時的に苦手分野から離れ、得意科目に立ち戻るという戦略を持ってみるのはどうでしょうか。

得意科目に取り組むのは、気分転換以上の意味があります。それは、自分に成功体験を意図的に与える行為です。スラスラと問題が解ける。新しい単元でもスムーズに理解できる。その快感が、脳にポジティブな感情をもたらし、「自分はできる」という自信を再構築してくれます。

自信が回復し、心が再び前を向けるようになったら、そのエネルギーを持って、苦手分野に再度挑戦すればいい。精神的な疲労が回復した状態であれば、以前より冷静に、効率よく問題に取り組めるはずです。遠回りに見えるかもしれませんが、この心理的な立て直しこそが、結果的には最短ルートになることもあります。

心と体の状態を、勉強の効率よりも優先する。この自己管理の視点こそが、受験という長期戦を乗り切るための鍵だと思います。

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