【とある日のmonologue #23】
更新日 : 2025年11月14日
― どうしても、机に向かえなかった日 ―
今、皆さんが必死に机に向かっている姿を見ていて、私自身の受験生時代を思い出すことがあります。思い出すのは、もちろん、集中して勉強できた日のことだけではありません。どうしても集中できなかった、体が重くて、頭がまるで動かなかった日のことも鮮明に覚えています。
朝から何時間も机の前に座っているのに、開いた参考書の一行も頭に入ってこない。時間がただ過ぎていく焦りだけが募り、余計に自己嫌悪に陥る。そんな日でした。夕方になって、ようやく「今日はもうダメだ」と認めるのですが、その時の自分が情けなくて、情けなくて仕方がなかった。
完璧な人間など、どこにもいません。受験生だって、一人の人間です。どれだけ強い意志を持っていても、体調や、心のコンディションによって、どうしても集中できない日はあります。その事実は、今なら客観的に理解できますが、渦中にいる当時の私には、自分を許すことが、とても難しかった。
そんな「ダメな日」の夜に、私が最終的に行き着いたのは、「その日の失敗を、明日には持ち越さない」という、シンプルな考え方でした。集中できなかったのは事実。後悔もある。でも、その自己嫌悪を引きずって、明日の貴重な朝の時間を潰すことだけは避けよう、と。
だから、私は潔く、その日の勉強は諦めました。その代わり、いつもより少しだけ早く温かいお風呂に入り、好きな音楽を聴き、無理やり心をリセットした。そして、「今日は負けたけれど、明日は必ず勝つ」と、布団の中で小さく決意し、眠りにつきました。
集中できない日を経験したからこそ、私は知っています。そこで自分を責めすぎる必要はないと。大切なのは、完璧を目指すことではなく、できなかった自分を受け入れ、次の朝に、何事もなかったかのように机に向かうことです。その切り替えの早さこそが、長く続く受験という道のりを歩き抜く上で、最も大切な力になるのだと、私は今強く思います。