「あと、もう少しだけ」と頑張る背中へ
更新日 : 2025年10月13日
夜が更け、家の中が静まり返った頃。リビングの隣の部屋からは、まだ明かりが漏れてきている。そっと様子を覗くと、机に向かって懸命にペンを走らせる我が子の背中がある。そんな光景に、胸が詰まるような、誇らしいような、そんな気持ちになる保護者の方も少なくないのではないでしょうか。
「頑張れ」と声をかけたい。けれど、もう十分に頑張っていることを知っているからこそ、その一言がプレッシャーになってしまわないかと、言葉を飲み込んでしまう。頑張れって頑張ってる人に言ってはいけない、なんて風潮誰が作り出したんでしょう。私はなんだかなあといまだに思います。
自分はよくささやかな夜食を用意することがあります。大したものではありません。私がよく作るのは、ラップで簡単に握った小さな塩むすびです。中に少しだけ鮭フレークや刻んだ梅干しを入れることもあります。勉強の邪魔にならず、片手で口に運べて、消化も良い。何より、お米の優しい甘さは、疲れた頭と体をじんわりと満たしてくれる気がします。
体が冷えていそうな夜や、もう少しお腹が空いていそうだな、という時には、お椀に一杯の温かいスープも良いかもしれません。インスタントのわかめスープに、溶き卵をそっと流し入れるだけでも、立派な一品になります。ほんの半玉だけの冷凍うどんを、お出汁でさっと煮込むのもいいですね。湯気の向こうに見える我が子のほっとした顔は、作ってよかったな、と思える瞬間です。
大切なのは、手の込んだ料理である必要は全くない、ということです。お子さんの心と体を温めたい、というその想いそのものが、何よりの応援メッセージになるのだと私は信じています。静かな夜、そっと差し出す一皿が、お子さんのそしてそれを見守るあなたの心を、少しでも温めるものでありますように。