友達の「推薦入試で合格決まった!」という報告を、笑顔で聞き流すための心の持ち方
更新日 : 2025年9月23日
9月、10月と秋が深まるにつれて皆さんの周りでも聞こえ始めるかもしれません。推薦入試やAO入試で、ひと足先に合格を決めた友達からの、あの、キラキラした報告が。
もちろん、仲の良い友達なら「おめでとう!」って心から言ってあげたいですよね。でも、その笑顔の裏側で、自分の心だけが、ズンと重くなるのを感じるんです。焦り、羨ましさ、そして、まだ終わりの見えない自分の戦いへの不安。今日はそんな、言葉にしにくい複雑な感情と、どう向き合えばいいのかについて、私なりの考えを話してみたいと思います。
心が揺さぶられてもいい
その苦しみの正体は、私たちが無意識のうちに全く違うルールのゲームを、同じ土俵で比べてしまっているからだと私は思います。
想像してみてください。陸上競技大会で、100m走に出場する選手と、マラソンに出場する選手がいるとします。100m走の選手が、わずか10秒でゴールテープを切ったのを見て、これから42.195kmを走らなければいけないマラソンランナーが「自分はなんて遅いんだ…」と絶望する必要は、全くないですよね。
推薦入試と、一般入試は、これと全く同じです。戦う「種目」が違うんです。もっと言えば、戦う「競技場」そのものが、そもそも違うんです。
「他人のフィールド」と「自分のフィールド」を心の中で分けよう
友達が推薦で合格した、という事実は、言ってみれば「隣の野球場で、ホームランが出た」というくらいのニュースです。それは、素晴らしいことだし、心から拍手を送るべきこと。でも、今サッカーの試合をしている君の勝敗には、一切関係がないんです。
君が集中すべきなのは、他人のフィールドの結果じゃない。自分のフィールド、つまり、2月の一般入試という決勝戦に向けて、今の自分に何が足りなくて、次の1週間で、どの練習をすべきか、その一点だけです。
他人のフィールドで鳴り響く歓声に耳を奪われて、自分のフィールドで足を止めてしまうこと。それが、一番やってはいけないことだと私は思います。
具体的な心の処方箋
そうは言っても、心を切り替えるのは難しいですよね。ですから、具体的なアクションを、二つだけ提案させてください。
①「おめでとう!」をちゃんと声に出して言う
友達に「合格した」と言われたら、嫉妬や焦りをぐっとこらえて、まず、笑顔で「おめでとう!」と声に出して言ってみてください。言葉にすることで、自分の気持ちも、少しだけ整理がつきます。そしてその友達を自分の戦いが終わるまで、”最高の応援団”の一人になってもらうんです。友達の応援はきっと君の大きな力になります。
② 自分の計画をもう一度見つめ直す
心がザワザワしたら、SNSを閉じて自分の机の上にある学習計画表や使い込んだ参考書をじっと見つめてみてください。そこに書かれていることこそが、君が今向き合うべき”現実”です。他人のフィールドではなく、自分のフィールドに、意識を強制的に引き戻すんです。
これから春まで皆さんは、何度も、何度も、隣のフィールドの歓声を聞くことになるでしょう。そのたびに心は少しだけチクッとするかもしれない。でもそのたびに思い出してください。君が走っているのは誰とも違う、君だけの、長い長い、尊いマラソンなのだと。