今日は、少し僕自身の、あまり格好の良くない話をさせてください。成功体験ではありません。僕が自分の弱さのせいで、ひどく後悔した時の話です。

なぜこんな話をするのか。それは、君たちには、僕と同じ後悔をしてほしくない、という切実な願いと、そして僕自身が二度とあんな思いをしたくない、という自分への戒めのためです。

僕には、昔から一つの悪いクセがありました。それは、その場しのぎの「小さな嘘」をついてしまう、というクセです。

僕が、ひどく後悔した「小さな嘘」の話

それは、僕がまだ若く、大学１年生のとき自ら志望して入った研究室でのことでした。チームで一つのプロジェクトを進めていて、僕は、あるパートの仕事を任されていました。しかし、僕は、その作業を少し、サボってしまっていました。締め切りが近づく中、リーダーから、こう聞かれました。「〇〇君、あの件、進捗どう？」

その瞬間、僕は、本当のこと（＝まだ、あまり進んでいません）を言うのが、怖かった。「仕事ができない奴だ」と、思われたくなかった。そのちっぽけなプライドを守るために、僕の口から、スッと嘘が滑り出ました。

「はい、もうほとんど終わってます。あとは、最終チェックだけです」

その場は、それで凌げました。でも、その小さな嘘が、大きな問題を引き起こしてしまいました。僕の作業が終わっていることを前提に、他のメンバーは次の工程に進んでいました。当然、僕のパートは終わっていないので、全ての作業がストップする。計画は遅延し、たくさんの人に余計な迷惑をかけることになりました。

もちろん、すごく怒られました。でも、それよりも辛かったのは、チームの仲間からの信頼を失った時の、あの冷たい視線でした。「あいつは、嘘をつく人間だ」というレッテル。その日、僕が感じた自己嫌悪と後悔は、今でも胸の奥に重く鈍い痛みとして残っています。

それからも頑張って治そうとしていますが、今に至るまでにまだ小さな嘘をついてしまっています。ありのままの自分が認められないのが怖くて、隠したくて。でも意識することで日々そんな醜い自分と葛藤しながら生きることで、少しづ減っていると思えています。

「自分への嘘」が、自信を静かに殺していく

この話をなんでここでしたかったというと、受験生のみなさんの毎日の勉強と驚くほどよく似ているのではと思ったからです

君たちは毎日自分自身とたくさんの「小さな約束」を交わしていますよね。

「よし、今日こそ、寝る前に英単語を50個覚えるぞ」
「この数学の問題集を、週末までに終わらせよう」

しかし、夜になって疲れてくると心の中に悪魔が囁きます。「まあ、今日くらいいいか。明日やればいいや」。そして君はその小さな約束を破ってしまう。それは君が君自身についた「小さな嘘」です。

この、一回一回は些細に見える「自分への嘘」が、実は君の自信を静かに、しかし確実に殺していくんです。何度も自分との約束を破っていると、君の心はこう学習します。

「どうせ、この自分は、決めたことを守れない人間なんだ」と。

そして、本番の試験の日。一番、自分を信じなければいけない、その土壇場で君の心は君自身を信じることができなくなってしまうんです。

巨大な自信は、「小さな約束」のレンガでできている

本当の揺るぎない自信って一体どこから来るんでしょうか。それは一つの大きな成功体験からではありません。僕は「自分との、小さな約束を守り抜いた」という、日々の地味な事実の積み重ね。そのレンガだけで、できているんだと思います。

だから君に提案したい。大きな守れそうもない約束をするのはもうやめにしよう。その代わり、バカみたいに小さな、でも「これなら、絶対に守れる」という約束を自分としてみてください。

• 「家に帰ったら、スマホを触る前に、まず15分だけ、机に向かう」
• 「寝る前に、たった一問だけ、数学の問題を解く」
• 「通学電車の中で、3ページだけ、参考書を読む」

そして、その小さな約束を、何があっても、守り抜いてみる。たったそれだけで、君は、知識を得る以上の、もっともっと大切なものを、手に入れることができます。それは、「自分は、自分との約束を守れる人間だ」という、揺るぎない”自己信頼”です。

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僕もまだ完璧な人間ではありません。なんなら完璧な人間なんてどこにもいません。けど少なくとも僕はこの嘘をつくということで、大切な信頼を失い、心が崩れる一歩手前まで深い悲しみを体験しました。自分が招いた結果だとしても今でも、きっとこれからも後悔することでした。

今でも、自分の弱さに負けそうになる日があります。だから、このブログは、君たちへのメッセージであると同時に、僕自身への、強い戒めでもあります。

君と君自身の関係は、君が人生で築く、最も大切な人間関係です。どうか、その関係を、誠実さで、満たしてあげてください。

その先にこそ、本物の自信が静かに君を待っているはずだから。そしてその先に受験だけでなくきっともっと素晴らしい人間になれるあなたがいると思います。そんな皆さんのために少しでもなれたら。