受験校までの道のりを「プチ旅行」にしてみませんか
更新日 : 2025年11月17日
入試本番まであとわずかとなり、多くのご家庭で、受験校までのアクセスについて確認を始めている頃だと思います。そこでよくご質問をいただくのが、「会場の下見は必要でしょうか?」というものです。
結論から申し上げますと、私は、受験会場への下見を兼ねた「プチ旅行」を、ぜひおすすめしたいと思っています。それは、単に道順を確認するためだけではありません。むしろ、お子さんの心を本番に向けて整える大切な心理的準備のためです。
下見の主なメリットは、大きく分けて3つあります。
まず、当日の交通手段と所要時間の確認です。いつもと違う時間帯の電車に乗ることで、混雑具合や乗り換えの感覚を掴んでおく。それだけで、当日の朝の漠然とした不安が大きく軽減されます。
次に、会場周辺の雰囲気に慣れることです。試験当日は、多くの受験生や保護者でごった返します。事前に一度、大学の門構えや、周辺のコンビニ、トイレの場所などを確認しておくだけで、「初めて来た場所」という緊張感が和らぎます。
そして、最も大切なのが、「リフレッシュ」という効果です。週末の午前中などに、ご家族で少し早起きして出かけ、下見を終えたら、近くのカフェで温かい飲み物を飲んだり、少し美味しいものを食べたりして帰ってくる。受験とは関係のない、穏やかな時間をあえて共有するのです。これは、「受験会場=緊張する場所」というイメージを、「家族との楽しい思い出の場所」として上書きする工夫です。
これは、あくまで教育現場から多くの生徒を見てきた私個人の考えですが、親御さんが下見の段取りをしてあげることで、お子さんはその分の時間を勉強に集中できます。そして、下見を「ピクニック」のように捉えることで、親子が笑顔になれる貴重な時間を意図的に作ることができます。
私自身、受験の前日に母と一緒にバスを乗る練習をしました。当日は混まないといいね、朝は寒いね、意外と揺れるね、なんて会話したのを覚えています。それがあったから当日緊張せずに取り組めたのだと思います。私も将来、そういった優しさを分け与えられる大人になりたいなと思い出しました。