睡眠時間は削るな!受験直前期まで戦い抜くための「戦略的」睡眠術と、スッキリ目覚める朝の習慣
更新日 : 2025年9月1日
「勉強時間が足りない…。こうなったら、睡眠時間を削るしかない!」
受験勉強が本格化する9月以降、多くの受験生がそう考え、夜遅くまで机に向かいます。「四当五落(4時間睡眠なら合格し、5時間睡眠なら落ちる)」という言葉が、まるで努力の証であるかのように語られることもあります。
しかし、現代の脳科学の知見から言えば、これは合格から最も遠ざかる、非常に危険な行為です。
もしあなたが、日中の猛烈な眠気や、勉強しているのに内容が頭に入らないといったスランプに悩んでいるなら、その原因は勉強不足ではなく、睡眠不足にあるのかもしれません。
この記事では、睡眠を「サボっている時間」から、「記憶を定着させるための重要な勉強時間」へと再定義し、あなたのパフォーマンスを最大化するための「戦略的睡眠術」を伝授します。
睡眠は、脳が”その日の学習内容”を整理する「復習時間」である
なぜ、睡眠がそれほどまでに重要なのでしょうか。それは、脳が、日中に学習した膨大な情報を整理し、長期的な記憶として定着させる「記憶の固定化」という作業を、まさに睡眠中に行っているからです。
日中、あなたの脳の「海馬」という部分は、学習した内容を一時的に保管する”仮のフォルダ”のような役割を果たします。そして、あなたが眠りにつくと、脳はその仮フォルダの中身をチェックし、重要な情報だけを「大脳皮質」という”本棚”に移し替えて、整理整頓してくれるのです。
睡眠時間を削るということは、この「整理整頓の時間」を脳から奪うということ。それは、せっかく勉強した内容を、脳に「さあ、忘れてください」と命令しているのと同じことなのです。勉強すればするほど、それを定着させるための睡眠が、より重要になるのです。
合格に近づく「戦略的睡眠」3つのルール
では、どうすれば睡眠を”武器”に変えることができるのか。今日から実践できる3つのルールをご紹介します。
ルール①:【7時間死守】睡眠の”量”を、学習計画の最優先事項にする
高校生の脳のパフォーマンスを最大化するためには、最低でも7時間、理想を言えば8時間の睡眠が必要だと、多くの研究が示しています。まずは、あなたの学習計画に、真っ先に「7時間の睡眠時間」を書き込んでください。勉強の計画は、その残りの時間で立てるのです。睡眠は、他の何かを犠牲にして確保すべき、最優先事項です。
ルール②:【寝る前1時間】は”デジタル・デトックス”の時間
スマホやPCの画面が発する「ブルーライト」は、脳に「まだ昼間だ」と錯覚させ、眠りを誘うホルモンである「メラトニン」の分泌を抑制してしまいます。これにより、たとえ7時間寝たとしても、眠りが浅くなり、記憶の定着が十分に行われません。
寝る1時間前になったら、スマホやPCの電源を切りましょう。その時間は、激しい思考を伴わない、穏やかな活動に充てるのが理想です。例えば、好きな音楽を聴く、ストレッチをする、読書をする(受験に関係ないもの)、翌日の準備をする、など。この一手間が、あなたの睡眠の”質”を劇的に変えます。
ルール③:【起きたら15分以内】に”太陽光”を浴びる
スッキリとした目覚めは、朝の光が作り出します。人間の体には、約24時間周期の体内時計が備わっていますが、これは毎朝、光を浴びることでリセットされます。起きてすぐに太陽の光(曇りの日でもOK)を目に入れることで、脳はメラトニンの分泌を止め、覚醒を促す「セロトニン」を分泌し始めます。これにより、頭がシャキッと冴え渡り、午前中から高い集中力を発揮できるのです。
朝起きたら、まずカーテンを開けて、5分間、窓際で外の光を浴びる習慣をつけましょう。
これらのルールは、特別なことではありません。しかし、日々の焦りの中で、つい疎かにしてしまいがちなことです。
本当の意味でトップを目指す受験生は、睡眠時間を削りません。睡眠の重要性を理解し、それを戦略的に活用しているのです。2学期からの長い戦いを最後まで走り抜くために、まずは日々の生活習慣を見直し、最高のパフォーマンスを発揮できる心と体のコンディションを整えることから始めましょう。睡眠を制する者は、受験を制します。