【2日目】Hello, Hawaii!:研修初日、リアルな英語の洗礼
更新日 : 2025年8月25日
なぜ、日本人がアメリカで医師を目指すのか。
「日本の医学部に通っているのに、どうしてわざわざアメリカで医者になろうと思ったの?」
よく聞かれるこの質問。
もったいぶるほどの話でもないのですが、理由は驚くほどシンプルです。
僕にとって、アメリカでの生活がどうしようもなく楽しかったから。
あの日々が、あそこでの出会いが、見た景色が、食べたご飯が、今の僕という人格を形成したと確信しているからです。もしアメリカに行っていなかったら、、考えたくもないです。多分本当に碌でもない人間になっていたと思います。それほど二つの国の文化を肌身を持って感じ、比べることができたのは間違いなく私にとって転機でした。
よくアメリカは「自由の国」なんて言われますよね。
僕もそう思うのですが、個人的には少しだけ付け加えたい言葉があります。
それは「自由はあるよ。でも、その結果起きることの責任は、ぜんぶ君が取るんだよ」という、あの独特のスタンス。
この、ある意味で突き放したようなカラッとした空気感こそが、多様な考えや新しいチャレンジが次々と生まれる土壌なんだと感じています。
別に、日本とアメリカのどちらが優れている、なんて話がしたいわけじゃありません。ただ、僕はアメリカの「やりたいと思ったことは、とことんやれ!応援するぜ!」という、情熱的でおおらかな懐の深さに、どうしようもなく惹かれてしまったのです。
そんな大きな理由を胸に抱きながらも、どこか心の片隅では「まあ、日本で働くのもいいかな」なんて思いながら、医学部での日々をどこか漫然と過ごしていました。
そんなある日、ポツンと学務課から届いた一通のメール。
それが、今回僕が参加した「ハワイ研修」の案内でした。
「これはちょうどいい!アメリカで医師として働くリアルを、現地で学んでこよう!」
……なんて格好つけましたが、本音を言えば観光がしたかった、というのが8割です(笑)。
だってハワイですよ!??大学生の夏らしくぱーっと遊びたいじゃん!!
学校から旅費の半分くらい補助も出るし、安くアメリカ観光しながら、ゆるーく英語でも喋ってこよう。正直、そんな軽い気持ちで参加を決めたハワイ研修。
でも、その軽い予想は、最高の形で裏切られることになりました。
それは、忘れられない、そして数年後に振り返った時、きっと「あそこが人生の転機だった」と確信するであろうほど素晴らしく充実した研修でした。
ホノルルの風、青い空、緑の海
ホノルルのダニエル・K・イノエ国際空港の自動ドアが開いた瞬間、日本のそれとは全く違う、からっとした熱気が全身を包みました。噂には聞いていましたが日本と比べて暑さはましでした。空港から見えた均等に並んだヤシの木と吸い込まれるほどの青い空、日本では嗅いだことのないプルメリアの甘い香り。「ああ、本当にハワイに来たんだ」と実感するには、十分すぎるほどの歓迎でした。
しかし、私の心は観光客のそれとは少し違いました。シャトルバスの車窓から見える、絵に描いたようなワイキキの青い海と白い砂浜を横目に、私はこれから始まる未知の研修への期待と、そして、心の奥底で静かに渦巻く不安を感じていました。「本当に、自分はやっていけるのだろうか」と。
研修の舞台:ハワイ大学医学部
今回の研修の拠点となるのは、ハワイ大学の医学部。簡単に日本と米国の医学部の違いを説明すると、日本は高校から卒業して入学するのに対して、米国では大学を卒業した後のメディカルスクールに入学するという形です。そのため全体的に年齢は上めで競争もかなり厳しいものになっています。
案内されたキャンパスは、私が通う日本の大学の、厳かで少し閉鎖的な雰囲気とは全くの別世界でした。太陽の光をふんだんに取り込むガラス張りの校舎、ガジュマルの巨木が作る木陰のベンチ、そして何より、そこにいる学生たちの多様性。半袖短パン姿でノートパソコンを広げ、真剣な顔でディスカッションをする学生たちの間を通り抜けながら、私はこの場所の持つ自由でオープンな空気と、同時に、そこから生まれるであろう知的競争の匂いを感じ取っていました。
明日に続く、、、