「睡眠学習」とは、睡眠中に音声などの情報を聞かせることで記憶や学習効果を高めるという発想の学習法です。一時期話題になりましたが、科学的には誤解や誇張も多く含まれています。以下で、睡眠学習の仕組み・実際の効果・注意点を整理して解説します。

■ 睡眠学習とは？

• 睡眠中、特に浅い眠り（ノンレム睡眠の一部）に音声教材を流し、脳に情報を刷り込もうという学習方法。
• 1950年代〜60年代にかけてアメリカで一時的に流行。
• 現代では一部の脳科学研究をもとに、限定的に注目されている。

■ 睡眠中に学習は本当にできるのか？

◯ 一部の研究で、関連する音声刺激が記憶定着に効果ありという結果も

• 例：ある単語を覚えた直後に、その単語の音声を睡眠中に再生 → 翌朝の記憶保持が向上【チューリッヒ大学 2012年】
• これは「ターゲット記憶再活性化（TMR）」と呼ばれる手法。

✕ しかし、「新しい知識を寝ている間に習得する」は非現実的

• 睡眠中に新たな内容（英単語、公式など）を理解・定着させるのはほぼ不可能。
• 理由：睡眠中の脳は情報の整理・記憶の再構築に集中しており、「インプットの処理能力」は非常に限定的。

■ 睡眠 × 記憶の関係：正しい活用法

✅ 睡眠は「記憶の定着」に超重要

• 睡眠中、特に深いノンレム睡眠では、その日覚えた知識が長期記憶に移される。
• 「寝る前に復習」→「しっかり睡眠」＝記憶のゴールデンコンビ！

✅ 睡眠直前の学習が効率的

• 寝る直前に軽く復習（英単語、暗記事項など）すると、記憶の定着率が高くなる。
• 逆に、睡眠不足だと勉強効率はガタ落ち。

■ 睡眠学習のまとめ

項目	内容
睡眠中に新たな知識を学ぶ	× 非現実的
睡眠中に既習内容の記憶を強化	△ 一部研究で可能性あり（TMR）
睡眠が記憶に与える影響	◎ 極めて重要
おすすめの使い方	寝る前に復習→質の良い睡眠

■ 現論会からのアドバイス

受験勉強では、「起きている時間の学習」×「質の良い睡眠」が最強の組み合わせ。
「寝ながら覚える」は夢物語。でも、「寝る前の復習」と「7時間睡眠」は現実の武器！